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1. |
はじめに
地価調査とは、国土利用計画法施行令第9条に基づき、都道府県知事が毎年7月1日における標準価格を判定するものです。土地取引規制に際しての価格審査や地方公共団体等による買収価格の算定の規準となることにより、適正な地価の形成を図ることを目的としています。今年の調査地点数は21,989地点(宅地21,451地点、林地538地点)。
なお、原子力災害対策特別措置法に基づき、原子力災害対策本部長が設定した帰還困難区域、居住制限区域、避難指示解除準備区域及び計画的避難区域内の31地点は調査を休止した。 |
2. |
全国の地価動向
平成24年7月以降の1年間の地価は、全国平均では依然として下落しているものの下落率は縮小傾向が継続している。三大都市圏平均では、住宅地はほぼ横ばいとなり、商業地は上昇に転換した。上昇地点数の割合は全国的に増加し特に、三大都市圏では、住宅地の約3分の1と商業地の約2分の1の地点が上昇傾向が見られてきています。一方、地方圏では、9割弱の地点が依然として下落しています。地価公示(1月1日時点の調査)との共通地点で半年毎の地価動向を比較してみると、三大都市圏では後半に上昇に転換したが、地方圏では後半に下落率が縮小という結果となっています。
全国平均で過去1年間の変動率は、住宅地が▲1.8%、商業地は▲2.1%の下落を示し、全国平均では依然として下落しているものの下落率は縮小傾向が継続している状態です。 |
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3. |
大阪府における地価調査地点
大阪府の対象標準地地点は778地点(※内訳 住宅地が552地点、商業地が178地点、工業地が46地点、宅地見込地が1地点、林地が1地点)であり、土地の取引価格の指標となるものです。
※平成25年より準工業地及び市街化調整区域内宅地は、住宅地、商業地、工業地のいずれかに再編されました。 |
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◆大阪府の1年間の地価動向をみると
(1)全体においては
・商業地は、21年以降4年連続マイナスであったが上昇しプラス1.1%。
住宅地は、▲0.4%と、5年連続の下落だが、下落幅は4年連続で縮小。
(住宅地:▲3.6%→▲2.0%→▲1.1%→▲0.4%)
(商業地:▲6.5%→▲3.0%→▲0.9%→ +1.1%)
・継続地点756地点のうち、上昇地点146地点、横ばい地点250地点、下落
地点360地点。
(2)住宅地においては
・市区町村別にみると、上昇率上位が大阪市阿倍野区1.4%、大阪市北区・
福島区・天王寺区1.2%、大阪市浪速区1.1%、大阪市中央区1.0%。
他方、下落率上位が豊能町▲3.2%、能勢町▲3.0%、千早赤阪村▲2.6%。
・「利便性に優れる徒歩圏内の住宅地」で横ばいや上昇地点が増加する一方
で、「利便性に劣る徒歩圏外の住宅地」で引き続き下落傾向が続いており、
住宅地の二極化傾向が見られる。
(3)商業地においては
・市区町村別にみると、上昇率上位が、大阪市北区6.4%、大阪市福島区5.3
%、大阪市天王寺区5.0%、吹田市4.6%、大阪市西区3.9%。
他方、下落率上位が、大阪市大正区▲3.6%、大阪市西成区・此花区▲3.1
%。
・商業地では、梅田地区の立地優位性が高まっている。
・都心部を中心に、利便性に優れマンション用地の需要がある地域で、地価
が上昇している。
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4.大阪府の基準地価格の1位等
(1)価格1位
・住宅地:天王寺(府)−4 大阪市天王寺区真法院町 54万7千円/u
・商業地:北(府)5−1 大阪市北区梅田1丁目 808万円/u
(2)対前年上昇率上位1位
・住宅地:阿倍野(府)−4 大阪市阿倍野区文の里3丁目 + 2.3%
・商業地:北(府)5−12 大阪市北区中之島5丁目 +10.6%
(3)対前年下落率上位1位
・住宅地:豊能(府)−3 豊能郡豊能町希望ヶ丘5丁目 ▲4.4%
・商業地:西成(府)5−1 大阪市西成区千本北1丁目 ▲3.8%
大正(府)5−1 大阪市大正区泉尾2丁目 ▲3.8%
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6.【参考資料】
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【住宅地】
◆ 低金利、住宅ローン減税等の施策による住宅需要の下支えや景況感の改善による
住宅需要拡大等もあって下落率は縮小し、三大都市圏を中心に上昇となった都県が
みられた。
◆ 圏域別にみると
・東京圏は、上昇地点の割合が大幅に増加し、特に東京都心部、横浜市及び川崎
市では上昇基調となっている。なお、半年毎の地価動向をみると後半は上昇と
なった。
・大阪圏は、上昇地点の割合が増加し、特に大阪市の中心部、北摂エリア及び阪
神間を中心に上昇基調となっている。なお、半年毎の地価動向をみると後半は
上昇となった。
・名古屋圏は、上昇地点の割合が大幅に増加し、特に名古屋市及びその周辺部で
ある西三河地域を中心に上昇基調となっている。なお、1年間を通じて上昇と
なった。
・地方圏は、9割弱の地点が下落しているが、ほぼ全ての道県で下落率は縮小し
た。
なお、宮城県が下落から上昇に転じた。
【商業地】
◆ 低金利、景況感の改善を背景に全都道府県で下落率が縮小した。また、堅調な住宅
需要を背景に商業地をマンション用地として利用する動きが全国的に見られ、上昇ま
たは下落率縮小となった要因の一つとなっている。
三大都市圏を中心に上昇となった都府県が見られ、主要都市の中心部などでBDP(事
業継続計画)等の観点から耐震性に優れる新築・大規模オフィスへの動きが見られるな
ど、一部の高度商業地や再開発等の進む地域で上昇基調となっている。
◆ 圏域別にみると
・東京圏は、上昇地点の割合が大幅に増加し、特に東京都心部や横浜市及び川崎市
では上昇基調となっている。なお、半年毎の地価動向をみると後半は上昇となっ
た。
・大阪圏は。上昇地点の割合が増加し、特に大阪市の中心部で高い上昇率を示す地
点が見られた。なお、半年毎の地価動向をみると後半は上昇となった。
・名古屋圏は、上昇地点の割合が大幅に増加し、特に名古屋市及びその周辺部であ
る西三河地域を中心に上昇基調となっている。なお、半年毎の地価動向をみると
後半は上昇となった。
・地方圏は、9割弱の地点が下落しているが、全ての道県で下落率は縮小した。
なお、宮城県が下落から上昇に転じた。
【東日本大震災の被災地】
◆ 被災3県を県毎に捉えると
・岩手県は、上昇地点の割合が増加し、下落率が縮小した。
・宮城県は、昨年に引き続き、上昇地点の割合が大幅に増加し下落から上昇に転じ
た。
・福島県は、上昇、横ばい地点の割合が大幅に増加し、下落率も大幅に縮小した。
◆ 岩手県及び宮城県では、浸水を免れた高台の地区や被害が軽微だった地区等におい
て、被災住民の移転需要や復旧事業関係者の土地需要などから上昇地点が増加し、一
方、海岸部では需要減退から引き続き下落する地点が見られた。
◆ 福島県では、帰還困難区域等の住民による同区域外への移転需要等の高まり等によ
り住宅地等を中心に上昇地点が増加し、同区域等の周辺市町村で下落率は縮小した。
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以上 |
(一財)大阪府宅地建物取引主任者センターメールマガジン平成25年11月号執筆分
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