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自然由来の有害物質によって汚染された土壌も、土壌汚染対策法の対象であるということは、すでに10年前の環境省の見解により結論がでています。 |
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土壌汚染による健康被害を防止するという同法の趣旨からみても、自然由来の汚染物質とそうでないものの区別が困難であるという点からも、上記の環境省の見解は妥当なものと考えます。 |
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分譲マンションの建築を目的とする土地の売買を行った場合、当該土地に環境基準を超える汚染がある場合は、それがどのような汚染由来であったとしても、買主はそれを処理する必要があります。汚染土壌の処理をしないと、商品として売り出せないからです。 |
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以上の点から考えると、売買契約中に、土壌汚染が発見された場合の売主の担保責任が規定された場合には、それが自然由来のものかそれ以外のものであるかを区別する趣旨ではないと考えるのが通常です。したがって、「自然由来の有害物質を除外する」との明確な合意がない限り、汚染由来にかかわらず、売主はその責任を負わなければいけないのは当然といえます。 |
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売買契約中に土壌汚染が発見された場合の売主の担保責任が規定された場合で、土壌汚染が発見された場合には、汚染由来にかかわらず、売主はその処理費用を負担しなければならないという点には注意する必要があります。 |
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なお、本裁判においては、土壌汚染対策費の妥当性も争点となっています。汚染除去に必要な範囲を超える改良工事を行っても、その費用の請求ができない場合があるので、その点についても注意する必要があります。 |