2.全国的な動向
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全国の平均変動率としては、住宅地が対前年比マイナス2.7%(平成22年はマイナス4.2%)、商業地が同マイナス3.8%(平成22年はマイナス6.1%)と3年連続で下落しましたが、下落幅は3大都市圏で前年の半分以下、地方圏でも3年ぶりに縮小し、上昇・横ばい地点も増加するなど、平成20年秋のリーマン・ショック以降続いてきた下落基調に変化が生じてきた結果となっています。
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国土交通省地価調査課は今回の特徴を次のとおり整理しています。 |
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【概括】
平成20年秋のリーマン・ショック以降、地価の下落が継続する中で、初めて東京圏、大阪圏、名古屋圏及び地方圏そろって下落率が縮小し、経済状況の不透明感は残るものの、下落基調からの転換の動きが見られた。この動きは、地方圏よりも大都市圏で、また、商業地よりも住宅地において顕著であるが、商業地においても地価の下落率が縮小し、住宅地の下落率と大差のない状況に近づいている。
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【住宅地】
◆ 住宅ローン減税・低金利・贈与税非課税枠拡大等の政策効果や住宅の値頃感の醸成により、住宅地への需要が高まり、住宅地の地価は下落基調からの転換の動きが見られた。
◆ 大都市圏においては、マンション販売の回復傾向が顕著であり、特に都心部では、マンションの素地取得が活発になっている地域も見られ、開発余力の高い地域では地価上昇につながっている。また、人気の高い住宅地を中心に、値頃感の醸成された地域において、戸建住宅等についての根強い需要から、面的に上昇や横ばい地点が現れたエリアも見られる。
◆ 地方圏においても、選好性の高い住宅地等における需要の顕在化や、医療や福祉などを重視したまちづくり、交通インフラや基盤整備の効果等により、地価下落に歯止めがかかった地域も散見されるものの、人口減少等の構造的な要因により、波及の程度は弱い。
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【商業地】
◆ 都市部を中心にオフィス賃貸市場の賃料調整、企業収益の回復、資金調達環境の好転、リート株の回復等を背景に、国内外からの投資も見られたこと等から、地価の下落幅が大幅に縮小した地域が見られるようになった。
経済状況の不透明感も残り、オフィスエリア全般では依然空室率が高止まりの傾向であるが、大型・築浅ビルへの集約移転等により、優良物件が競争力を向上させ、需要が顕在化するケースも見られる。
都市部の一部の地域では、高度利用のできる商業地域にマンションが立地する傾向が見られ、マンション販売の好調を反映して、地価の上昇につながるケースも見られる。
◆ 地方圏においても、下落率の縮小傾向が見られ、特に、鉄道の開業・延伸に関連する地域等における地価上昇の動きも散見されるが、依然低調な賃貸市場、人口減少等に伴う需要減、地域のキーテナントの撤退、郊外の大型店による中心市街地の衰退等により、下落幅の縮小度合いは小さい。
◆ 都市、地方を通じて言えることであるが、オフィス系、店舗系とも、立地、規模等による二極化傾向や個別化傾向が強まっている。
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3.大阪府内の動向
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大阪府内の変動率を見ると住宅地がマイナス2.6%(平成22年マイナス4.8%)、商業地が同マイナス4.6%(平成22年マイナス8.9%)とやはり住宅地・商業地ともに3年連続で下落となりましたが、全国平均と同様下落幅は縮小しました。
前年はすべての調査地点で下落していましたが、今回は1,722地点中、横ばい地点が住宅地29地点、商業地1地点、準工業地1地点、計31地点あり、府内でもやや明るい兆しも見えてきています。
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住宅地で市町村別にみると、大阪市福島区で全地点の変動率がゼロ、池田・豊中・東大阪等でもゼロの地点がありましたが、他方、河南町と千早赤阪村ではいずれもマイナス7%と前年より下落幅が拡大し、豊能町もマイナス6.5%とやや大きな下落となっています。
商業地で市区町村別にみると、大阪市中央区でマイナス9.4%、大阪市北区でマイナス8.6%とやや大きな下落となっています。
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大阪府の標準地の価格・対前年変動率上位1位・対前年下落率上位1位
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