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平成7年1月の阪神・淡路大震災では、地震により多くの建築物が倒壊。このことを踏まえ、地震に対する建築物の安全性の向上を目的に、建築物の耐震改修の促進に関する法律(耐震改修促進法)が平成7年12月25日に施行されました。 |
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平成23年3月に発生した東日本大震災は、これまでの想定をはるかに超える巨大地震・津波により甚大な人的・物的被害をもたらしました。 |
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近い将来発生が予想されている南海トラフの巨大地震や首都直下地震では、これらの地震が最大クラスの規模で発生した場合、東日本大震災を超える被害が想定されています。 |
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このため、建築物の地震に対する安全性の向上を一層促進するため、耐震改修促進法が改正され、施行されました。
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□ 改正の概要 |
原則として昭和56年5月31日以前に着工した建築物(同年6月1日以後に増築等の工事を行い,建築基準法の検査済証の交付を受けたものを除く。)が対象となります。
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耐震診断の義務化、診断結果の公表
以下の建築物の所有者は、耐震診断を行い、その結果を一定の期限までに所管行政庁に報告することが義務付けられました。また、所管行政庁は報告された耐震診断結果を公表することとなっています。期限までに結果を報告しなかった場合、所管行政庁は報告するよう所有者に命令でき、その場合は命令した内容が公表されます。命令に従わない場合は、罰金の対象になります。
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病院、店舗、旅館等の不特定多数の者が利用する建築物及び学校、老人ホーム等の避難弱者が利用する建築物のうち大規模なものなどの所有者は、耐震診断を行い、平成27年12月31日までにその結果を報告しなければなりません。 |
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耐震診断義務付け対象建築物一覧
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用 途 |
対象建築物の規模 |
小学校、中学校、中等教育学校の前期課程若しくは特別支援学校 |
階数2以上かつ3,000u以上 |
体育館(一般公共の用に供されるもの) |
階数1以上かつ5,000u以上 |
ボーリング場、スケート場、水泳場その他これらに類する運動施設 |
階数3以上かつ5,000u以上 |
病院、診療所 |
劇場、観覧場、映画館、演芸場 |
集会場、公会堂 |
展示場 |
百貨店、マーケットその他の物品販売業を営む店舗 |
ホテル、旅館 |
老人ホーム、老人短期入所施設、福祉ホームその他これらに類するもの |
階数2以上かつ5,000u以上 |
老人福祉センター、児童厚生施設、身体障害者福祉センターその他これらに類するもの |
幼稚園、保育所 |
階数2以上かつ1,500u以上 |
博物館、美術館、図書館 |
階数3以上かつ5,000u以上 |
遊技場 |
公衆浴場 |
飲食店、キャバレー、料理店、ナイトクラブ、ダンスホールその他これらに類するもの |
理髪店、質屋、貸衣装屋、銀行その他これらに類するサービス業を営む店舗 |
車両の停車場又は船舶若しくは航空機の発着場を構成する建築物で旅客の乗降又は待合の用に供するもの |
自動車車庫その他の自動車又は自転車の停留又は駐車のための施設 |
保健所、税務署その他これらに類する公益上必要な建築物 |
一定量以上の危険物の貯蔵場又は処理場の用途に供する建築物 |
階数1以上かつ5,000u以上(敷地境界線から一定距離以内に存する建築物に限る。) |
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地方公共団体が指定する緊急輸送道路等の避難路沿道建築物*の所有者は、耐震診断を行い、地方公共団体が指定する期限までに耐震診断結果を報告しなければなりません。
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大阪府:地域防災計画に定める広域緊急交通路は、災害時の応急活動(救助・救急、医療、消火、緊急物資の輸送)を迅速かつ的確に実施するための道路であり、地震発生時に沿道建築物が倒壊して、道路を閉塞することがないよう、倒壊時に前面道路を閉塞させる可能性がある高さが基準以上の建築物(詳細は下記の大阪府HPをご覧ください。)
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地方公共団体が指定する緊急輸送道路等の避難路沿道建築物*の所有者は、耐震診断を行い、地方公共団体が指定する期限までに耐震診断結果を報告しなければなりません。
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大阪府:今後市町村等と協議のうえ対象建築物を決定する予定
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全ての建築物の耐震化の促進 |
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マンションを含む住宅や小規模建築物など、全ての建築物に対して耐震診断及び必要に応じた耐震改修を行う努力義務が課せられました。 |
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耐震改修計画の認定基準の緩和(増築、改築の範囲の拡大)及び認定に係る建築物の容積率、建ぺい率の特例措置の創設
外付けフレーム工法などの床の増築を伴う耐震改修工法も認定可能になるよう耐震改修計画の認定基準が緩和され、増築、改築の範囲が拡大されました。また、当該認定を受けた建築物は、増築等における既存不適格建築物の緩和を受けることができるとともに、増築に係る容積率及び建ぺい率の特例を受けることができます。
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区分所有建築物の耐震改修の必要性に係る認定
耐震改修の必要性の認定を受けた区分所有建築物(マンション等)について、大規模な改修を行おうとする場合の決議要件が緩和され、区分所有者の過半数の集会の決議により耐震改修を行うことができます。(区分所有法の特例:3/4以上→1/2超)
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耐震性に係る表示制度の創設
耐震性が確保されている旨の認定を受けた建築物の所有者は、当該建築物に「基準適合認定建築物」の表示をすることができます。 |
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(参考)耐震診断義務化対象建築物等に対する国の支援制度(補助制度) |
改正耐震改修促進法により、耐震診断の義務付けの対象となる民間の不特定多数利用建築物等について、通常の補助制度に加え、国が重点的・緊急的に支援する制度(耐震対策緊急促進事業)が創設され、所有者等が行う耐震診断・耐震改修等の負担が軽減されます。対象となる経費については、対象建築物の用途、規模、工法等により、上限額が設定されています。また、地方公共団体が国にあわせて補助する制度を設けている場合があります。
例示:地方公共団体において対象建築物への補助制度が整備されている場合
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不特定多数の者が利用する大規模建築物等
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耐震診断:最大で、国1/2補助、地方1/2補助(原則として建物所有者負担が無し)
耐震改修:最大で、国1/3補助、地方1/3補助 |
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避難路沿道建築物、防災拠点建築物
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耐震診断:最大で、国1/2補助、地方1/2補助(原則として建物所有者負担が無し)
耐震改修:最大で、国2/5補助、地方2/5補助 |
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このため、対象となる建築物が所在する地方公共団体(市町村及び都道府県)に対し、補助制度の有無やその要件を事前に問い合わせてください。
「耐震対策緊急促進事業」(詳細は国土交通省HPをご覧ください。)
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(一財)大阪府宅地建物取引主任者センターメールマガジン平成26年2月号執筆分
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