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地中埋設物、地中障害物は土地についてのいわゆる物理的瑕疵となり得ます。障害物の位置、障害物の存在により地上建物の建築が制限される程度などがファクターとなってきます。
また、売買契約の目的が果たせないものとして契約解除が認められるか否かについては、撤去に要する費用が大きな指標となります。たとえば、解除を認めた例では、分譲マンションを建設するためには,売買代金額と対比して過分な高額の処理費用を要することが見込まれることを理由に売買の目的を達することができないと認めたケース(東京地裁H20.9.24 判決)や、地中の産廃物の存在により日常生活を送ること自体に支障はなく、このことは心理的な嫌悪感にとどまるものであるし、将来の増改築の際にも地盤改良工事ないし廃棄物の撤去に費用を要することが予想されるという程度のものであることを理由に契約の目的を達することができないと認めることはできないとしたケース(さいたま地裁H22.7.23 判決)があります。
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第1事案では媒介業者に対する損害賠償請求がなされています。売主に対する瑕疵担保責任の追及が考えられるところですが、免責特約が付されていたこと、売主が知って告げなかった瑕疵であるから免責されないとして損害賠償請求訴訟を提起したものの、売主が知っていたとは言えないとして、敗訴しています。
瑕疵担保責任とともに、売主には売買契約の付随義務として説明義務があります。
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媒介業者は、その説明義務違反を問われることとなります。
物理的な瑕疵は、買主に不測の損害をもたらすことがありますので、物理的な瑕疵の存在を業者が知っている場合には、仲介業者は当該瑕疵の存在を買主に説明すべき義務を負っています。
物理的な瑕疵の存在を業者が知らない場合の注意義務については一般には、「その業務の性質に照らし、取引当事者の同一性や代理権の有無、目的物件の権利関係、ことに法律上の規制や制限の有無等の調査については、高度の注意義務を要求されるが、目的物件の物的状況に隠れた瑕疵があるか否かの調査についてまでは、高度な注意義務を負うものではない」とされています(千葉地裁松戸支部H6.8.25判決)。専門的な鑑定・調査が必要な事項については、当該専門家の鑑定・調査を得るべき事柄といえ、逆に宅建業者に調査を強いることは無理を強いることになるからです。
もっとも専門的な鑑定・調査が必要な事項に関し、調査の必要性を示す事実に気づいたときには、当該鑑定・調査が必要であるということを説明すべきであり、これを怠れば善管注意義務違反となります。
第1事案においては、内覧時に本件土地上に、コンクリートで固められた蓋状のものがあるのを発見したため、買主が地中に旧建物の浄化槽が残っているのか、等と質問をしています。このような状況下では仲介業者としても地中埋設物が存在する可能性を説明すべきです。本件では説明をしたと認定してもらえたのですが、このような質問が出た以上は、口頭で説明するのみならず、重要事項説明書においても、補足説明として記載することにより買主に再度注意を促すとともに説明をしたことを証拠化していただきたいと思います。
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