『法人税率の段階的見直しと外形標準課税の拡大について』



税理士 櫻井 圭一

1.法人税率の段階的見直しについて

(1) 概要

  平成28年度税制改正大綱においては、「現下の経済情勢等を踏まえ、経済の好循環を確実なものとする観点から成長志向の法人税改革等を行う」として、その一環として法人税の税率が段階的に引き下げられることになりました。

(2) 法人税率について

  法人税の税率については、下記のとおり改正されました。

(3)中小法人等の特例について

  注意したいのが、中小法人等の特例です。普通法人等のうち各事業年度終了の時において資本金の額若しくは出資金の額が1億円以下であるもの若しくは資本若しくは出資を有しないもの、一般社団法人等又は人格のない社団等の各事業年度の所得の金額のうち年800万円以下の金額に対する税率は19%(法法66A)ですが、平成24年4月1日から平成29年3月31日までの間に開始する各事業年度については、15%(措法42の3の2@)とされています。この取扱いについては、今回の改正では変更されていませんので、中小法人等の平成29年4月1日以後開始事業年度の所得年800万円以下の金額の部分については、19%となることに注意しておく必要があります。

2.外形標準課税の拡大について

(1) 概要

  法人地方税においては、外形標準課税の拡大とあわせて所得割の税率が引き下げられました。

(2) 外形標準課税対象法人についての事業税の標準税率

  外形標準課税対象法人についての事業税の標準税率は下記の通り改正されました。

(3) 負担変動の軽減措置

  外形標準課税の拡大に伴い、事業税の負担が増加する法人については、一定の軽減措置があります。

  平成28年4月1日から平成29年3月31日までの間に開始する事業年度に係る付加価値額が40億円未満の法人については、その事業年度に係る事業税額が、その事業年度の課税標準に平成28年3月31日現在の付加価値割、資本割及び所得割の税率を適用して計算された事業税額を超える部分(負担増となる額)について一定の軽減がされます。

3.地方法人特別税の税率について

 外形標準課税対象法人の地方法人特別税の税率については、下記の通り改正されました。

以上 

(一財)大阪府宅地建物取引士センターメールマガジン平成28年11月号執筆分