1 はじめに
我が国における観光客、特に外国人観光客の増加と宿泊施設の不足等の理由により、民間の住宅の一部やマンションの居室に有料で観光客を宿泊させることを営む事業いわゆる民泊営業が広く見られるようになりましたが、他方、建物の鍵の管理方法、宿泊客の騒音等の迷惑行為等によるトラブルが生じ、旅館業法違反の疑いのある例も見られ、社会的にも問題点が指摘されるようになりました。
今回は、そのようなマンション居室を利用した民泊営業のトラブルの典型的な事案について、マンション居室の区分所有者である民泊事業者に対し一定の損害賠償が命じられた裁判例(大阪地裁平成29年1月13日判決 消費者ニュース111−313)を紹介したうえで、本年6月から施行予定のいわゆる民泊新法との関係を見ていきたいと思います。