1 はじめに
せっかくローン特約を設けたのに、いざ融資否認になったにもかかわらず、売買契約書の中のローン特約の文言が不明確であるため、果たして解除ができるのかどうかがはっきりしないことが少なくありません。
また、いわゆる「ローン壊し」の場合のように、買主の落ち度によって融資申込みが拒絶された場合、買主を保護する必要はありませんから、ローン特約による解除は認めないという旨の条項が設けられるのが一般的です。しかし、この条項に当てはまるのかが微妙な事案もあります。
これらの場合、買主と売主あるいは媒介業者との間で、手付金や媒介報酬の返還をめぐって紛争になります。今回は、このような紛争を二つ御紹介します。