新型コロナウイルス感染症の影響による先行きの不透明さなどを背景に、消費者においても住宅取得環境が厳しさを増していることに対応するため、令和3年度税制改正では、次の2つの点について改正されました。
(1)消費税率引上げに伴い住宅ローン控除の控除期間を3年間拡充する特例措置に
ついて、一定の要件を満たす場合には、令和4年度末までの入居を対象と
する
(2)合計所得金額1,000万円以下の者について床面積40uから50u未満の住宅も
対象とする特例措置を講ずる
これらが適用されるのは、住宅の取得等の対価の額又は費用の額に含まれる消費税率が10%である場合に限られます。このうち、上記(1)が適用される住宅で、床面積が50u以上の住宅の取得等は「特別特例取得」と、上記(2)に該当する床面積が40uから50u未満の住宅の取得等は、「特例特別特例取得」と規定されました。
また、これらの規定は、次に掲げる区分に応じて、それぞれに定める期間内に、その住宅の取得等に係る
契約が締結されている場合に限られます。
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なお、令和3年度税制改正で新たに規定された取得区分「特別特例取得」、「特例特別特例取得」以外に、従前からの区分として、住宅取得等の対価の額又は費用の額に含まれる消費税率が8%であるものは「特定取得」、消費税率が10%であるもののうち、「特別特例取得」及び「特例特別特例取得」に該当しないものは「特別特定取得」、「特別特定取得」のうち、新型コロナウイルス感染症の影響を受けたことによる上記2.(3)(ロ)の対象となるものは「特例取得」と規定されています。
以上について、住宅ローンの控除期間と年間の控除限度額を合わせてまとめると、次の表の通りとなります。
※画像をクリックすると拡大表示します。表中、「契約日」欄の()以外は、注文住宅の場合です。
消費税率が10%に引き上げられたことに伴う改正と、新型コロナウイルス感染症の影響に対応するための措置により、シンプルだった住宅ローン控除制度は、複雑なものになりました。住宅の取得等を検討されている方から住宅ローン控除の適用に関して質問を受けた際には、上記の改正内容を十分確認したうえでアドバイスすることが望まれますし、適用の可否が不明確な場合には、安易に回答せず、税務に関する専門家のアドバイスを仰ぐことをお勧めします。