(1) |
親であるAは、かなりの面積の土地を所有していた。子BCは、A所有の土地建物に無償で居住するなど、親密な関係にあった。 |
(2) |
Aは所有する土地(以下「本件駐車場敷地」という)を駐車場として賃貸していた。BはAの意向を受けて、相続税対策を税理士に相談したところ、相続発生時に、相続税納付のために遺産の不動産を売却することを避けるため、本件駐車場敷地をAからBCに無償で貸し、BCがAの貸主の地位を引き継いで貸主となり、駐車場利用者から収益を得ることの助言を得た。 |
(3) |
この助言により、AはBCとの間で平成26年1月、本件駐車場敷地の使用貸借契約を締結した。契約内容は、期間は平成26年2月から10年間、固定資産税等相当額を賃料としてBCに賃貸し、BCはAの承諾により各土地の転貸または賃借権譲渡等が可能、というものであった。 |
(4) |
重ねて、AはBCとの間で、本件駐車場敷地上に敷設されたアスファルト舗装部分を贈与するとの契約も締結した。贈与契約書には、贈与物件においてAが営んでいた駐車場賃貸借契約について、BCが貸主の地位を引き継ぐこと等の記載がされていた。 |
(5) |
Aは、上記契約に基づき、本件駐車場敷地の賃貸借期間は、平成26年1月の1か月分のみであるとして不動産所得を申告した。これに対して、課税処分庁は、同年2月以降の駐車場賃料もAに帰属するとして、増額更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分を行ったため、Aは国に対して、本件各処分の取消訴訟を提起した。 |
(6) |
第一審の大阪地裁は、法形式に準じた判断を行った。すなわち、BCに対してA所有の本件駐車場敷地を無償で使用収益させる使用貸借契約が成立しており、本件駐車場敷地の駐車場収益は、BCが当該土地の使用収益権に基づき第三者との間で駐車場に係る賃貸借契約を締結して当駐車場の収益を得ていること、Aは当駐車場の収益を得ていないこと等から、当該収益は所得税法上BCに帰属すると判断した。 |
(7) |
これを不服とした国は、控訴した。 |