| (1) |
原告と被告との間の本件不動産の購入の仲介に関する契約書等の文書はなく、仲介を依頼したと認めるに足りる客観的な証拠はないことからすれば、原告と被告との間で明示の仲介契約が成立したと認めることはできない。
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| (2) |
また、原告は、被告が本件不動産を取得する場合の媒介人となることなど、買主側の仲介人となるとの話や、媒介報酬等を含めた媒介契約の条件等を説明したとは認められないこと、原告は不動産取引を専門とする業者であるにもかかわらず、被告に対し、宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買又は交換の媒介の契約を締結したときに交付すべき書面を交付していないこと、本件買受申出書について、被告が本件不動産を購入する確定的な意思を示したとは直ちには解せないことなどからすれば、原告と被告との間で本件不動産の売買の仲介契約が黙示で成立したとも認められない。
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| (3) |
以上によれば、原告と被告の間で、被告が本件不動産を購入することについての明示又は黙示の仲介契約が成立していたとは認められないから、これを前提とする原告の報酬請求は認められない。また、上記仲介契約が成立していたことを前提に、被告が本件不動産の売買契約の成立を故意に妨げたことを理由とする民法130条による報酬の請求も理由がない。
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| (4) |
原告は、本件物件概要書を用いて被告に本件不動産を紹介したり、被告に本件不動産を案内したりしたこと等が認められる。しかし、これらの事実は、不動産取引を業とする原告の営業行為にとどまるとも解されることからすれば、これをもって、商法上の商人が、その営業の範囲内において他人のために行為をしたとして同法512条により相当の報酬を請求し得る場合に当たると解することはできない。
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| (5) |
また、被告が本件不動産の取得を断念したのは、本件不動産の所有者の代表者であるFが反社会的勢力に関与している疑いが判明したからであるが、Fの前科等からすれば、そのような疑いを抱くことは不合理とは言い難く、被告が、原告を排除しようとして、原告に虚偽の本件不動産の購入を断念する旨告げたとは認め難いことからすれば、本件において、民法648条3項を類推適用することはできないというべきである。
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| (6) |
以上によれば、原告の請求は理由がないので、これを棄却する。
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